今はもうない 森博嗣

今はもうない (講談社文庫)

今はもうない (講談社文庫)


避暑地にある別荘で、美人姉妹が隣り合わせた部屋で一人ずつ死体となって発見された。二つの部屋は、映写室と鑑賞室で、いずれも密室状態。遺体が発見されたときスクリーンには、まだ映画が…。おりしも嵐が襲い、電話さえ通じなくなる。S&Mシリーズナンバーワンに挙げる声も多い清冽な森ミステリィ

犀川&萌絵じゃないS&M第8弾。評価が高いようです。お金持ちの別荘の二つの密室で2人が死んでて発見時には映画のフィルムが回ってて外は嵐で…と、状況がとってもミステリ的。密室の謎は私には解けませんでしたが、分かる人にはたぶんすぐ分かるんじゃないかな。それほど難しいトリックじゃないと思う(解けなかったけどね!)。
めずらしく一人称です。犀川先生も萌絵も主役ではありません。評価が高いようですね。でもこの本だけ読んじゃ駄目だと思いますが。
映写室と娯楽室をしばらく勘違いしてて混乱しました。映画が映っていた部屋には映写機は無いのだね。あと被害者の恋人の彼が一人目の死体であんなに泣いてたのは何故?
笹木さんの正体が予想と外れたのでちょっとがっかり。西之園嬢は…服の趣味が違うなとは思いましたが。彼女も親を亡くされていたんですか?あんまり人間関係を把握してないのだけど。
しかし犀川先生は本筋以外の話が長いな。

エンジン音と喚声、それに鳥の鳴き声。谷間を渡るトラス橋では、車輪がレールの継ぎ目を叩く音が鳴り、深い山林に遠くまで響く。
それらの音も、光も、少年の思い出とともに、地球上のすべての大気に飛散し、拡散し、消散して、今はもうない。