ミミズクと夜の王 紅玉いづき
- 作者: 紅玉いづき,磯野宏夫
- 出版社/メーカー: KADOKAWA/アスキー・メディアワークス
- 発売日: 2007/02/10
- メディア: 文庫
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魔物がはびこる森の中で、ミミズクはふたつの月を見つけた。空に浮かぶ月と、同じぐらい美しい美貌を持つ人と。ひょっとしたら、人間ではないかもしれない。それでもよかった。ミミズクの願いはひとつだから。「あたしのこと、食べてくれませんかぁ……!?」
電撃小説大賞の大賞受賞作。801ちゃんが絶賛していたので読んでみました。
http://indigosong.net/
いやあ、これはいいですね。童話か児童文学みたいです。読みやすい。私にとって読みやすいということはかなり高評価です。
私、悲しみよりも幸せで泣くタイプなんでこれはとても良いです。抱き合うって素晴らしい。恋愛ものとは思ってなかったけど、フクロウとミミズクが抱き合うところは「おおお!?これは、絵に描いたようなラブロマンスじゃないかあ」と、口笛吹いてヒューヒューいいぞー!てな気分でした。聖騎士も王子様も、勿論最後の王様の抱擁も素晴らしい。
挿絵が無くて正解だと思いますが、魔物のクロちゃんがどういう外見をしているのかイマイチ分からなかった。腕が4本?目が無い?夜の王は普通の美形の兄ちゃんに黒い羽根が生えてる程度でいいんだよね?
あとがきがとても良いです。というかあとがきだけでまた一つの物語みたいにいいことが書かれているのですよ。以下の一文が特に。
私安い話が書きたいのよ、と、熱に浮かされた病人みたいに、たち悪くくだを巻く酔っぱらいみたいによく言ったものです。私安い話を書きたいの。歴史になんて絶対残りたくない。使い捨てでいい。通過点でいいんだよ。大人になれば忘れられてしまうお話で構わない。ただ、ただね。その一瞬だけ。心を動かすものが。光、みたいなものが。例えば本を読んだこともない誰か、本なんてつまんない難しいって思ってる、子供の、世界が開けるみたいにして。私が、そうだったみたいに。そういう、ね。ああ。小説を、書きたいな。